イベント【インタラクティブ・ミーティング<5月19日> 開催報告】
ELフォーラム登録者各位 5月19日(月)に、早稲田大学国際会議場第2会議室において、第1回インタラクティブミーティング「ビジネスモデルの成功法則:時間の経済性」が行われました。ご参加いただいた方にお礼を申し上げます。 さて、今回の催しの各スピーカーの話を簡単に要約すると以下のようなものでした。 1.講演:井上達彦(早稲田大学商学部助教授、IT戦略研究所副所長) 「ビジネスモデルの成功法則」
情報化が進むと、かえって人間や組織の役割は重要になる。その理由は3つに要約できる。第1に、ITと組織と企業間の関係をうまく整合させなければ仕事が前に進まない。第2に、IT資源、組織の内部資源、ならびに企業間の関係資源を結びつけなければ収益エンジンが作動しない。第3に、他社の追随を許さないためには、自社の優位性を組織の内部や企業間の関係に埋め込んで、解読不可能にしなければならない。以上3つの理由があるからである。
2.廣瀬道孝((株)ツタヤオンライン取締役経営企画室長) 「コメント1:クリック&モルタル」
休眠会員を通常会員化するためには工夫が必要である。金銭的メリットを与えれば集客することは可能だが収益が圧迫される。そこで、メリットの与え方を少し工夫して、「ついで買い」を促した。その結果、休眠会員を通常会員化するだけでなく、収益性にもプラスの影響が出るになることが明らかになった。店舗の問題を、オンラインの取り組みでうまく解消し、クリック&モルタルの相乗効果を実現することができたのである。
3.北村禎宏((株)ワールドCRS統括部ダイレクトマーケティンググループ長) 「コメント2:パラドックスのパラドックス」
「情報化が進めば進むほど人間や組織が重要になる」というパラドックスでは言い尽くせない部分がある。ITが人間の力を削ぎ落とすという側面である。一般論としても、はじめからITありきで仕事を進めると、パソコン上でしかものを語ることができなくなったり、人間とコミュニケーションできなくなったりする。注意すべきは、人間や組織の能力を修復するのには、よりいっそうの時間がかかるということである。ITによって得られるものだけでなく、失われるものがあるので注意が必要である。パラドックスのパラドックスである。
「ビジネスモデル」の模倣困難性をどう確保していくかが、今後の課題になると感じました。「情報システムはそれだけでは競争優位に結びつかない」とはよく言われることです。しかし、人間系も含めた「情報システム」は、持続的競争優位に結びつく可能性があるはずです。 根来龍之早稲田大学IT戦略研究所所長・大学院商学研究科教授 negoro@waseda.jp http://www.waseda.ac.jp/projects/riim/ http://faculty.web.waseda.ac.jp/negoro/ |
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